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金原ひとみの読んでおきたい著作を紹介

  • 1月6日、純文学作家・金原ひとみの新刊『クラウドガール』が発売されました。 キャッチコピーは「姉妹にしか分かりえない、濃密な共感と狂おしいほどの反感」。 金原ひとみの作品には珍しく、姉妹物の作品となっています。 『蛇にピアス』で鮮烈なデビューを果たした金原ひとみ。その文学性が『クラウドガール』という作品に至るまでの過程をご紹介します。


  • 『蛇にピアス』から『TRIP TRAP』まで

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    2003年、金原ひとみは『蛇にピアス』ですばる文学賞を受賞し、デビューしました。翌年には純文学の新人に与えられる文学賞である芥川賞を受賞し、同時受賞した綿矢りさに次ぐ史上2位の若さで、その名を世間に知らしめました。 その後、『アッシュベイビー』、『AMEBIC』、『オートフィクション』、『ハイドラ』、『星へ落ちる』、『憂鬱たち』、『TRIP TRAP』と、2009年までに精力的に作品を発表。等身大の恋愛小説で若い読者から支持されてきました。

    『マザーズ』での転機

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    2011年に発表された『マザーズ』はそれまでの金原作品とは一線を画す長編小説でした。タイトルの通り、テーマは“母親”。そこに書かれているのは「聖母」とは遠い、リアリティのある母親の姿です。特別な道具立てがあるわけではなく、飽くまで現実に寄り添ったまま進行していくストーリー。『マザーズ』で描かれた「聖母でないことを許された母親像」は子を持つ女性を中心に話題となりました。

    愛を巡る短編集『マリアージュ・マリアージュ』

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    『マザーズ』が出版された翌年に出版されたのが短編集『マリアージュ・マリアージュ』です。『マザーズ』以前、金原文学の中心はほとんど恋人へ向けられた執着心とも呼べるほどの愛でしたが、『マリアージュ・マリアージュ』はそれとはある意味対照的で、“愛”について深く考えされる作品となっています。

    震災に混乱する男女を描いた『持たざる者』

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    『持たざる者』は、2015年に出版された連作短編集です。2011年に起こった東日本大震災に伴う原発事故を機に、岡山、そしてフランス・パリに移住した金原ひとみ自身の経験から描かれた作品となっています。描かれているのはひとりひとりの価値観の違い、原発事故から数年を経てからの放射能への危険意識など。いずれにせよ震災で生活が一変した人間たちの姿がリアリティを持って私たちに迫ってきます。金原作品の中でもっとも“他者”が意識して書かれた作品であると言えます。

    ファンも納得のクオリティ!『軽薄』

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    2016年に出版された『軽薄』は、金原ひとみのこれまでの文学の集大成ともいえる作品でした。主人子は子を持つ母親。何の不自由もない生活を送る一方で、甥との禁断の情事に溺れていきます。しかし、それがただの不倫物ではないのが金原作品の特徴です。「背徳感が絶妙のスパイス」などと凡庸なことは書かれず、ふたりで堕ちていくような恋愛と、子を想う母親の気持ちが入り混じり、それでも孤独感に苛まれていく主人公の穏やかな破滅が描かれています。

    新刊『クラウドガール』

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    そして、今年出版されたのが『クラウドガール』です。この作品は金原ひとみ初めての新聞連載小説で、117回に渡って連載されていました。冒頭は姉妹の壮絶な喧嘩から始まり、読者は一気に物語に惹きつけられます。“母親の死”という共通の不幸を元に展開されていくストーリーは、金原ひとみの新境地とも言えるでしょう!

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