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弟と新聞配達をして買った中古のストリートファイター2ターボ

  • ゲームのソフト全てに特別な思い出があるわけではない。しかし、スト2ターボに関しては、特に大切な思い出が詰まっていると感じた。ゲームのプレイ内容だけではなく、その周辺に散らばる思い出にこそ今心を鷲掴みにされる感情がある。


  • 新聞配達で弟とスト2ターボを買おうと決意

    中学生だった僕と弟はどうしてもスト2ターボ(ストリートファイター2ターボ)がやりたかった。当時、早朝に起きて二人で新聞配達をしていた。もともと弟が新聞配達をしていたのだけど、僕も一緒にやらせてもらうことになったのだ。中学生にとって1ヶ月に1万円以上のお金をもらえるというのは本当に凄いことだった。弟もゲームが好きで、よく一緒にやっていた。弟はとにかく野球のゲームが上手くて僕は全く勝てなかった。格闘ゲームも勝負する事があった。スト2ターボをやりたいという話になり、一緒に新聞配達でお金を貯めて折半で出し合って買おうという話になった。

    スト2ターボを夢見ながら新聞を配る日々

    新聞配達はラクな仕事ではなかった。早朝に起きて自転車で新聞と広告が置いてある場所まで行く。新聞に広告を挟む。それから配る。天気がいい日ならいいが、僕達がやっていたのは冬だった。本当に寒かったし、暗い中、雨が降っても新聞が濡れないように気をつけながら配った。弟はすでにどこの家がどの新聞かというのを把握していた。僕は地図を見ながら頑張った。1ヶ月頑張れば新聞配達代をもらえてスト2ターボを買えるんだ!挫けそうになりながらも頑張った。弟とお風呂に一緒に入る事があったので、その時も「スト2ターボ買ったら誰(キャラ)使う?」なんて話で盛り上がった。

    念願の日!中古屋さんに買いに行った!

    確か、母親に車で中古のゲーム屋さんに連れて行ってもらったと思う。人気のゲームだったので、売り切れてたらどうしようと思っていたが、あっさり買えた。帰宅して弟とプレイ。スト2ターボは苦労したからこそかなりやりこんだ。普通のスト2より動きが速いのでプレイしていても楽しかった。

    スト2ターボでは四天王も使える!!

    四天王はスト2の時代からずっと自分で使ってみたかった。サイコクラッシャーアタックとかカッコイイし、タイガーアッパーカットを出した後の隙は体感的にどんなもんなんだろう、バイソンはキックとかなさそうだけどどんな感じなのだろう、バルログは網がないステージではどう戦うんだろう等、使ってみないとわからない事がたくさんあった。この時期の知的好奇心というのはまさに衝動と言っても過言ではない。埋まらないともどかしくてイライラしたり我慢できないようなもの。その代わり、知的好奇心が満たされれば幸福感を得られた。インターネットもまだまだ普及してない時代。わからないことや裏技なんて当たり前に隠されてる時代だ。そういう情報を本屋さんで調べたり、友達と共有するのも楽しい時代だったと思う。わからないからこそ想像力が豊かになった。これがこうなったらいいのに。。とか、こうなったらもっと楽しいのにと考えて発想力にも繋がったと思う。

    先日、このソフトはおばあちゃんの家で見つかった

    昔は長い休みの時はおばあちゃんの家にみんなで行った。その時、やはり子供なのでどこに行ってもゲームがしたかった。おばあちゃんの家に行く時にはスーパーファミコンを持参していった。正直、この時の事はうっすらとしか覚えていない。しかし、数ヶ月前おばあちゃんの家でソフトが何本か発見されたのだ。今は、おばあちゃんの家におばあちゃんはいない。おばあちゃんは、叔母の家族と一緒に住んでいる。「ファミコンがあったよ。」と聞いて行ってみたら押し入れの奥の方にスーパーファミコンのカセットがいくつかあった。ファミコンがあったというから、ファミコン本体があったのかと期待したが、ゲームに疎い叔母はゲーム=ファミコンという認識だったらしい。久しぶりに入るおばあちゃんの家は天井が低く感じた。思い出の中の大きさと誤差がある。楽しかった時期のまま全ては止まっていたのだろう。2階の畳の上、当時と変わらない匂いの中、1階で雑談をする親戚の声を遠く聞きながらスト2ターボを手にとってしばし目を閉じた。

    頑張って手に入れたものは特別愛しい

    簡単に手に入る物も、個人的には大好きだし簡単になんでも手に入ればいいのにとは常々思っている。でも後から考えてみればやはり手に入れるのが難しかったものほど可愛く愛しく感じるものだ。自分で思い出分の付加価値を物につけてしまっているのは理解しているつもりだが、感覚的に思い入れが強くなるものだ。あんなに苦労して手に入れた事、手に入れる前に楽しみだと語りあったこと、ゲームが好きすぎて可能な限りどこにでも持っていってプレイしたこと。その全てが愛しく感じる。ゲームのソフト全てに特別な思い出があるわけではない。しかしスト2ターボに関しては、特に大切な思い出が詰まっていると感じた。ゲームのプレイ内容だけではなく、その周辺に散らばる思い出にこそ今心を鷲掴みにされる感情がある。戻れない時間の中で濃く生きたあの頃に恥じない生き方をしたいと改めて思った。

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