この記事は「書店開業日記」の中で連載されています。バックナンバーはこちら

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#01 渋谷で本屋を始めることになった、25歳起業家の話

  • パン屋を始めたいと本気で考えていたことはあったが、少なくとも本屋を始めるなんて思ってもなかった ─ BOOK LAB TOKYO は、つくる人を応援するというコンセプトで、本屋・カフェ・イベントスペースの3本軸として立ち上げた店舗ブランドである。Labitおよび私個人は、呼びかけ人という形を通して、少しずつ共感してくれる人を集めながら、このお店を作り上げていく。急速に再開発が行われている進化し続ける街・渋谷の真ん中に、こんな斜め上な企画を、妙な20代が言い始めても(おそらく)誰も文句は言うまい。少しでも歓迎の声があれば嬉しいし、ローカルビジネスといえども4年分の事業計画は念入りに立てた。何はともあれ始まってしまったので、今日から、本屋開業の100日間の連載を始めよう。


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    App Storeにアイデアを提出するのと違って、本屋を始めるというのは、あまりにも日常体験からかけ離れていて

     25年間生きてきて、ノンフィクションから生命科学の専門書までたくさんの本を読んできたが、本屋をやろうと思ったことは一度もなかった。少なくともパン屋を始めたいと本気で考えたことはあっても(今も時々考える)、本屋を始めたいと思う動機というのは、あまりにも日常からかけ離れている。そのうえ紙の出版業界は縮小し、書店は減少し続けているこのご時世である。ここ数年間でコンセプト書店が増えた。でも、どちらかというと「カルチャー分野」「ライフスタイルの提案」「おとなのための消費喚起」を全面に押したものが多い印象で、何度も通っているうちに、その雰囲気になじめない自分に気がついたのである。それがこの本屋を実現したいと思う一番強いモチベーションである。

     今日 5/25から 100日間、毎日なるべく欠かさず(土日は休むかもしれませんが)連載という形で短いエッセイを通して、本屋が出来上がるまでとオープンを経て軌道に乗るまでの期間、文章で記していこうと思う。テーマは、時には過去を振り返ってみたり、苦労した選書作業のことを書いたり、工事現場の様子を写真付きでお伝えしたり、出版流通業界についての紹介をするかもしれない。電子書籍についての自分の考察も書けるだろうし、同時に進めている本の二次流通のフリマアプリに絡めたエピソード、何よりこのプロジェクトに関わっている人などの紹介などを行いたいと思う。書店のオープンは 6/25 を目指しているのだから、順調にいけば、開業前の日記が 30日間、開業後の日記 ─ 奮闘記とも言うべきだろうか、が70日間 という頃合いだ。

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     渋谷スクランブル交差点を渡った後、道玄坂を3-4分ほど登った中腹(という表現が正しいか分からないが)あたりに、渋谷フォーラムエイトという有名な貸し会議室がある。自転車乗りには、Y's Roadを指したほうが分かりやすいだろうか。この2つのテナントの間に小綺麗に改築されたエントランスがあって、2Fに上がる専用エスカレーターがある。そこを上がった目の前には、65坪の未来の書店があった。テナントの内部を初めて見たとき、そこはまるでマーベル作品に出てくる戦闘シーンのための廃墟セットかと思った。聞くと、過去に使っていたサイバーエージェントさんの Ameba Studio の跡地で、床のモルタルには前の入居者の存在を微かに感じるアメーバのブランド・ロゴが白く残っていた。CGイメージ画像が上がってくるまで、ここがコーヒーの香りに包まれたモダンな本屋になるなんて、想像もつくまい。しかし、2ヶ月後にはラ・マルゾッコのエスプレッソマシンが朝からラテを淹れていて、クラフトビールを飲みながら軽い打ち合わせをしている人たちがソファに座っていて、話題の新刊が出たときは、夜に著者を招いたトークイベントが行われる会場になっている。書いていたら、ワクワクしてきた。

    それで僕は、何がしたいんだろう? それは、お店が完成して、最初のお客さんがレジで本を買ってくれたときに分かるのかもしれない

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    壁一面の本棚、いいなぁと思った。幅16メートルである。Macbook Pro 15inch 約50個分。ここには約5,000冊の本が収納できそうだ。消防署や役所への届け出など必要な手続きや、店舗のレイアウト設計、什器の選定を進めていくとともに、現在流通している約90万冊の本のタイトルのなかから、このお店に置く8千タイトル・1万冊を「選書」するという作業が待っていた。私はこれまでブロガーとして、情報を取捨選択する、いわゆるキュレーションという行為は好きだし、苦手ではないと自負していた。だから1点1点、初期在庫のタイトルはすべて見ることにした。だけど、想像以上に困難を極め、時間がかかってしまって何日か夜遅くまで作業は続いた。「選書」という行為については何記事でも書けそうな気がするので、後に譲りたいと思うが、ここで書き記しておきたいことは、90万タイトルから8千タイトルという、自分史上、過去最大のキュレーション活動をまもなく終えるということで、安堵しているということである。だが、本は毎日210冊ずつ新たに出版されているから、選書は店が続く限り、これからも続いていく。

    ここまで読んでいただいた皆さんには、ぜひ CAMPFIRE に掲載しているエピソードや想いも併せて読んで頂けると嬉しい。3-4分くらいで読めると思う。もし興味を持っていただけたら、この書店は現在、クラウドファウンディングという形で創業資金の一部を集めているので(その殆どが、初期在庫の約1500万円、施工費の約4,000万円〜 等に充てられる予定です。)、支援していただいた方には一人ひとりお礼を申し上げたいとともに、ここは支援者全員で作った店だという事実をずっと残して行きたいと考えている。リターンは毎日1杯無料になるドリンクチケットだったり、貸切をご提供するといったことなど色々考えている。

    1日目の連載はこんな感じだろうか。この文章を書いている ditors.com も僕たちが提供している執筆プラットフォームサービスで、僕はひとり目のユーザーとして使いながら改善をしている(あんまり広報していないから、外から見ると、ほとんど工事中のサービスに見えるかもしれない。)コメント欄はまだ無いのではてブのコメント以外のフィードバックは見られないから、自由気ままに明日以降も書いていこうと思う。ちょうど明日から、IVS 2016 Miyazaki に出席するため、1年ぶりに宮崎を訪ねることになった。昨年参加したときは、空港の食堂でひとりチキン南蛮を食べたことしか思い出が無いので、今回はぜひとも Launch Pad で5年ぶり2度目の優勝を果たしたいと意気込んでいる。宮崎のチキン南蛮は、本当に美味しかったので、同じ業界にいる起業家たちは、ぜひとも宮崎でのIVS Launch Padの出場切符を得るべく、3回のプレゼン予備選考にチャレンジするのをお薦めしたい。しかしなぜだろう、味噌カツは名古屋がおいしくて、チキン南蛮は宮崎が美味しいのは。なんでだろう?

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